リアル見合い
とうとう父親が、見合い話を持ってきた。
自分では言い出せなかったらしく、母親からその話はされた。
相手は、父親の元同僚の息子である。
実は幼少の頃何度か会っている。旅行もしたことがある。
千葉の濁った海の記憶だけはぼんやりとあるが、それ以上は思い出せない。
国内大手機械メーカーの技術者。同じ年。父親はすでに他界。
私が知っているのはそこまでだ。本名も知らない。
父から何度か彼の近況を聞いたことがあったが、まったく興味も無かったので
右から左へ受け流していた。しかも、遠い親戚だと勘違いしていたくらいだし。
良く考えりゃ、そんなワケないのだけど。とにかくこんな話が持ちかけなければ
思い出すこともなかった。
母は、「見合い」とは言わなかった。
ただ向こうの親と彼とみんなで食事をしてみないか、ということだった。
妙齢の独身男女が親付きで合わされりゃ、そんなのバカでも見合いだって分かる。
私は「見合いならしないよ」とはっきり断言した。
見合いサイトには登録している私だが、リアルな見合いは話は別だ。
ましてや知り合いとなんてもってのほか。
だって、一発で気に入ればいいよ。
でもそんな奇跡なんて起こりっこないってことくらい、この年にもなれば分かる。
それに別にこれと言って問題なくても、好きにはなれそうにない場合、
親の手前、断りにくいじゃないか。向こうだって同じだろう。
それでも母親は、食い下がってきた。
だから私はとりあえず聞いてみたんだ。
「カッコいいの?」
三十路過ぎたいい大人がする質問ではないことは重々承知。
しかしこれは重要な問題だ。それに顔がいいだけが格好良さではない。
私より数段大人な母親なら、トータルで考えての「格好良さ」で答えてくれるだろう。
母は少し考えてから、ポツリと言った。
「いや、あまり・・・」
心は完全に決まった。断固NO。それがお互いのためだろう。
無用な傷は付け合いたくない。
そのやり取りを隣で聞いていた妹がこう言った。
「その年でひとりって、やっぱどこかに欠点があるってことだよね〜」
私は軽く傷ついた。
同じようなやり取りが、彼の実家でも行われているのかもしれない。
ああ、設定だけはドラマチックだったんだけどな。
これだから現実ってやつは・・・。
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